下顎前歯の感染根管治療症例(26歳:男性)
下顎前歯に実施した感染根管治療
慢性化膿性根尖性歯周炎になった下顎前歯を感染根管治療によって改善した症例をご紹介します。
【慢性化膿性根尖性歯周炎】…虫歯の放置や外傷によって神経が壊死した場合や、神経を取り除いた場合などに細菌が感染し、歯根周辺に慢性的に炎症が起こる症状。
初診時の口腔内
26歳男性の患者様です。痛みはないが、前歯の歯ぐきに違和感がしばらくあるとのことでご来院されました。10年以上前に下の歯を強打した記憶があるとのことでした。所見では、虫歯はありませんでしたが、電気歯髄診で失活していることが確認できました。
【電気歯髄診】…弱い電流を流して歯髄(神経)の生死を調べる診査法。
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【レントゲン撮影】
通常のレントゲンではほとんど異常かどうか判別できません。
【CT精密検査】
通常のレントゲン写真では異常ははっきり分かりませんでしたが、CT写真で明らかな骨の吸収を確認しました。根の治療が必要であると判断しました。
根管治療の実施
【治療計画】
ラバーダムというゴム製のシートで細菌対策をしながら、マイクロスコープを用いて感染根管治療を実施。MTAセメントにて根管充填を行い、骨の再生を期待する。
治療完了
根管を充填後、穴を塞いで一先ず治療完了です。根管の奥までしっかりと薬が詰まっているのが確認できます。
今後、MTAセメントによって骨が再生してくるのを期待します。骨の再生には半年ほどかかるケースが多いため、定期的に通院いただき、経過を観察していきます。
年齢・性別 | 26歳 男性 |
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治療期間 | 3週間程度 |
治療回数 | 3回 |
リスク・注意点 | ・骨の再生には時間がかかる。 ・骨の再生が100%起こるわけではない。 ・外科処置が必要になるケースもある。 ・歯が折れてしまうと抜歯となる場合が多い。 |